歯科医院の経営悪化を防ぐ方法とは?対策を3ステップで解説

歯科医院の経営悪化を防ぐ方法とは?対策を3ステップで解説

歯科医院の経営状況が悪くなった時、まず思いつくのは看板のリニューアル、治療設備への投資、ホームページの制作または口コミサイトの登録、自費診療の導入などではありませんか?それらの方法も確かに役立ちますが、場合によっては経営悪化を招くことがあります。

経営悪化を防ぐには、やみくもに売上促進をするのではなく、状況をしっかりと把握した上での対策が必要です。

今回の記事では、歯科医院の経営悪化を防ぐための対策を、3ステップの順番に沿って解説します。

※本記事は現役の医療従事者が監修しております。

ステップ1:経営悪化の原因を理解する

歯科医院の経営悪化を防ぎ、安定に繋げるには、現在の経営状態を知る必要があります。よく知らないままに売上促進の対策に走ったとしても、根本的な解決につながらないばかりか損失が生まれやすいためです。

だからこそ、「なぜ自院の経営状態が悪くなっているのか?」と考えましょう。

歯科医院が経営難になる原因

多くのケースで考えられる原因は、売上の減少です。

シンプルな結果と言えますが、十分な売上がない状態では人件費や設備費、その他経費などを支払っていると、当然のことながら赤字経営に近くなります。かろうじて黒字経営ができていても、いざという時の内部留保さえ難しくなり、いずれは困るかもしれません。

そのため、経営改善の施策に移すには、売上が減少した要因を探ることが先決です。

売上が減少した要因

売上が減少した要因は、歯科医院の内部環境か外部環境から見て取れます。

内部環境による売上の減少

ここでは、自院だけにフォーカスし、売上が減少した要因を振り返りましょう。

・患者数の減少(離脱、既存患者の引っ越しや死亡、紹介患者の減少など)
・患者による診察のキャンセル
・自費診療からの売上減少
・保険点数の変化

自院のみで考える売上減少には、以上のような要因が考えられます。単純に患者数が減少しているのか、キャンセルや予約日変更などによる損失か、自費診療からの売上が見込めなくなっているか、それぞれのポイントから理由が見えてきます。

外部環境による売上の減少

売上が減少した要因は自院だけでなく、外部から見つかるケースも多いです。

・地域環境、生活導線の変化による患者数減少
・近くでライバル院の出現
・患者層の変化
・患者側からの不満

例えば、地域の過疎化あるいは開発が進むと患者側の導線も変わり、通いづらく感じられることもあります。また、近隣に歯科医院が新たに開業し、患者の離脱が生まれることも十分に考えられ、患者の高齢化によって通院環境が変わることも、売上を左右する要因の一つです。

どれも重要なポイントになりますが、患者側からの不満も軽視してはいけません。「期待した治療をしてもらえなかった」「医師との相性が悪い」「受付のスタッフの態度が悪い」など、歯科医院側にとっては些細な理由でも、患者が離脱するリスクは非常に高いです。さらに近隣のライバル院で同じような不満が出ていなければ、患者の流出も防げなくなります。

売上減少の原因を探す時、内部環境だけでなく外部環境にも目を向けることで、より幅広い視点から原因や対策が明らかになります。

ステップ2:歯科医院の経営悪化を防ぐための3つの対策

さて、自院の経営悪化の原因が見えてきたら、次は具体的な対策を始めましょう。

・患者数を増やす
・単価を上げる
・離脱を防ぐ

以上の3つからアプローチすることをおすすめします。

対策1:患者数を増やす

患者数の減少による経営悪化には、患者数を多くする施策が必要です。

・チラシのポスティング
・看板のリニューアル
・街灯広告の設置
・ホームページ制作やリニューアル、充実化
・SNSの開設、情報発信
・インターネット広告

具体的には以上のような方法が効果的です。

特にホームページやSNSでの情報発信、インターネット広告は近年主要な集患ツールとなっています。患者側はパソコンやスマートフォンで情報収集をしている点、経営が順調な歯科医院ではインターネットツールを駆使している点を考えると、積極的に活用するべきだと言えます。

対策2:単価をあげる

患者数は十分でも売上が低い場合や、患者数が増えてきても売上に直結しない場合には、患者1人に対する単価を上げます。

この場合には、自費診療の導入と患者への誘導が有効です。ホワイトニングや矯正治療、インプラントやセラミック治療など、高単価な歯科治療があるだけでも、売上拡大が見込めます。

対策3:離脱を防ぐ

患者数や単価は増やすことも大切なポイントですが、同時に減らさない施策も必要です。

・離脱患者への呼びかけ
・新規患者へのリピート促進
・定期健診への誘導

などから、患者が継続的に来院するよう働きかけましょう。

そのためにも、患者とのコミュニケーションが欠かせません。現在ではLINEの公式アカウントから患者との連絡手段を持つ歯科医院も増えてきていることから、以前よりも患者との距離を縮めやすくなっています。時代の流れに乗り、患者を離さないための施策を始めましょう。また、医師やスタッフ同士の関係性や院内環境など、患者が通いやすいような環境整備も大いに役立ちます。

ステップ3:歯科医院の経営を安定化させるには

現在の自院の課題と経営悪化を防ぐための取り組みが、明確になってきましたね。最後に、歯科医院の経営を長期的に安定させるためのポイントをお伝えします。

PDCAサイクルを意識する

PDCAサイクルとは、業務や目標を達成させるためのフレームワークです。

・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(評価)
・Action(改善)

の4つのステップを回し、結果に応じた改善策を進めていきます。

Plan(計画)

計画の段階では、歯科医院の経営悪化を防ぐための目標を設定しましょう。現時点で何が経営悪化の原因となっており、それに対してどのような対策をするかを明らかにします。

Do(実行)

計画が定まったら、実行に移します。集患対策や自費診療への誘導など、課題に対する行動をしていきましょう。

例えば、集患対策として地域コミュニティとの積極的な連携が挙げられます。

地元のイベントや健康フェアへの参加、学校や高齢者施設での口腔衛生教育の提供、地域新聞やオンラインコミュニティでの広告掲載などを行うことで、地域における認知度を高め、新たな患者獲得につなげることが可能となります。

Check(評価)

PDCAサイクルのうち、PlanとDoまでは既にできているものの、CheckやActionにまでは進めていないケースが少なくありません。しかし、計画と実行だけをしていても、思うような結果にならないケースがほとんどです。

計画を実行に移したら、集患状況や売上、利益などを定期的に確認し、進捗状況に目を向けましょう。計画通りに進んでいるのなら問題ありませんが、そうでなければさらなる改善の余地があります。一度の挑戦で完全に成功するのは難しいからこそ、定期的な見直しが不可欠です。

Action(改善)

Checkからの改善策をまとめ、再び対策に移します。このようにして最初の行動が改善され、より緻密で効果的な対策になっていきますので、PDCAの流れは最後まで意識しておきましょう。

まとめ

以上、歯科医院の経営悪化を防ぐための対策について解説しました。

歯科医院の経営状態が悪くなると、焦るあまりになるべく早く売上が上がる方法に頼りがちですが、正しい手順を守らなければ問題の根本的解決にはなり得ません。むしろ現状把握ができていないままに打開策に乗り出しても、裏目に出てしまい、最悪の場合には廃業するリスクさえ高くなります。

経営悪化を乗り越え、安定した歯科医院の経営をするためにも、

・原因を知る(内部環境と外部環境の変化を必ず確認する)
・原因に合わせた対策をする
・PDCAを意識し、定期的に見直す

以上の3つのステップを守り、経営の立て直しを考えましょう。