歯科医院の物件選びのポイントは?開業が成功するコツを解説!

歯科医院の物件選びのポイントは?開業が成功するコツを解説!

近年、治療ニーズの変化や少子高齢化による患者数の減少など、歯科業界を取り巻く状況は大きく変化しています。時代の変化に対応し、数多く存在する医院の中から選ばれる存在にならないと、歯科業界で生き残ることはできません。明確なコンセプトや目標を持ち、適切なステップで準備を進める必要があります。

歯科医院の開業を進める際、特に力を入れる必要があるのが「物件選び」です。立地やアクセスの良さ、広さなどのバランスが取れている物件を選ばないと、利用者を呼び込むことができず、利益につながりません。

今回は歯科医院の物件選びについて、流れやポイント、探す方法、契約時の注意点などを解説します。

歯科医院の物件選びの流れ

ただ物件を探すだけでなく、事前に決めておくべきことや確認すべきポイントがあります。余裕を持ったスケジュールで、できるだけ早めに行動できると良いでしょう。新たに物件を建てる場合もありますが、ここでは賃貸物件を契約する場合の物件選びの流れを説明します。

1. 事業計画の作成
歯科医院をどういった規模で展開するのか、財源や収益見込み、コンセプトなどをまとめておきます。事業計画を事前に作成しておくことで、物件選びから外せない項目が見えてきます。

2. 物件の希望条件を選定

事業計画の作成で見えた必要な物件の条件を、歯科医院の特性も踏まえて決めましょう。好条件の物件であっても、売上に対して賃料が高い場合、長期的に経営を続けることは難しいため、売上見込みに対して払い続けられる賃料であるか考えておきます。

3. 物件探し・内見
不動産業者と相談し、物件を選択します。開業したいエリアの知識が豊富な不動産仲介業者に依頼すると、スムーズに物件を探すことができます。物件を選択するうえで重要であるのが内見です。物件や賃料だけではなく、周辺環境や治安、アクセスの良さを確認し、安定した経営ができそうな物件を選択すると良いでしょう。

4. 申し込み、審査
経営したい物件が決まったら、なるべく早く申し込む必要があります。申し込んですぐに契約が成立するわけではなく、賃料の支払い能力があるか、事業計画が妥当であるかなどの審査が存在します。追加で提出物を求められた場合はその指示に従わなければいけません。

5. 契約締結
審査が通過してはじめて、正式な契約になります。契約書の条項を確認したうえで、内容に問題がなければ署名と捺印をします。

6. 引き渡し

本契約後、鍵の受け取りが完了すると、物件の引き渡しが行われます。多くの場合、鍵を受け取った日が契約開始日で、引き渡しが完了したら機材などの準備を進めていきましょう。

物件を選ぶ前に事業計画で決めておくこと

適切な物件を選ぶために、まずは適切な事業計画を作成することが重要です。

事業計画が曖昧では、どういった物件を選ぶべきか迷ってしまい、開業が進みません。その上、ビジネスの方向性自体も曖昧になります。今後のビジネスの指針を決定する大切な項目であるため、具体的な事業計画を策定し、時間をかけてでも明確な内容にしましょう。

ターゲット

ビジネスを始めるうえでターゲットの設定は、今後の方針や売上に直接関係する項目です。年齢層や性別、職業など、様々な側面でのターゲットが考えられます。歯科医院数とその患者数の多さから、一般的な運営では、他医院との差別化を図るのは難儀です。しかし、最新機器の利用で高い効果が期待できる診療内容や、子どもを連れて入りやすい設計などといったターゲットを見据えた運営ができると、効果的な運営が可能になります。

メインターゲットが決まれば診療単価がわかります。これは、売上予測において重要な情報です。さらにターゲットの選定は、どういった場所に開業するか、医院のコンセプトをどうするかのヒントにもなります。

医院の雰囲気、コンセプト

医院の雰囲気やコンセプトも考慮すべき要点の1つです。歯科医院の施術内容は、患者が不安やストレスを感じることが多いため、負の感情をどれほど緩和できるかがポイントとなります。

ターゲット層と雰囲気がマッチしない場合、医院に入りづらかったり、リピートにつながらなかったりする可能性があります。しかし、こういった悩みは内装工事の必要性や予算の確保などの良い判断材料です。コンセプトや雰囲気は大切な要素ですが、見た目ばかりを重視すると、費用がかかるだけでなく、ターゲットとした利用者層が訪れない場合があります。

他の項目とのバランスを鑑みながら、最低限の譲れないラインを決める参考にしてみてください。

価格設定

価格設定は非常に重要なマーケティング戦略です。しかし、歯科医院の保険診療は価格が決まっているため、値付けを考える必要がありません。そのため、自費診療の価格設定を苦手としている院長も多くいます。そこで、ここでは顧客に満足感を与えながら、医院側もしっかり利益を確保する価格設定のポイントを紹介します。

・歯科医院の市場的にどのくらいの価格が適正か
・ターゲット層が無理せず支払える範囲か
・開業するエリアの診療単価との兼ね合い
・初期投資やランニングコストを差し引いて利益を出せるか
・医院の設備や技術に見合った金額か

価格が決定すると売上見込みを出すことができます。また、価格設定は物件申込後の審査の際に提出する事業計画の作成にも必要な事項です。自身の歯科医院に合った価格を慎重に検討しましょう。

設備、規模

大規模な施設にするのか、小規模な施設にするのかを踏まえ、必要な設備次第で、医院の面積や備品数などを考えます。設備の種類や数、次第で初期費用が大きく変わってきます。

初めに投資した分を回収して、黒字にするためにはどのくらい売上をあげなければならないかを計算すると、価格設定や賃料の参考にすることが可能です。

賃料の上限

これまでの条件を総合して、払い続けられる賃料がどのくらいまでなのか決めます。どんなに良い物件があっても、売上に対して賃料が高すぎると借り続けることはできません。軌道にのるまでの賃料が事前に用意できているかも忘れてはいけないポイントです。毎月のランニングコストとしてかかり続けるため、無理のない範囲で払える賃料であるか考慮しなければいけません。

賃料は往々にして「希望の賃料」「妥協できる賃料」「これ以上は絶対に払えない賃料」というラインが存在します。賃料が高いが条件はいい物件を見ると魅力的に見えてしまいがちですが、上記3点をあらかじめ決めておいて、不相応な賃料の物件を選ばないように注意しましょう。

賃料の上限を決定することで、事業を始めるにあたって確保すべき予算がある程度把握できます。

物件選びのポイント

事業計画の作成で、イメージする物件の条件を洗い出したら、次は物件の探索です。ここでは具体的にどのような点が物件選びのポイントになるか解説していきます。

立地・エリア

医院の立地は物件選びの中で最も重要です。ターゲット層がよく来る場所でわかりやすいかどうか、歯科医院の競合がいないか、などをチェックしましょう。交通の利便性が良かったり、競合が少なかったりすることで、集患やスタッフ採用に良い影響を与えます。

ターゲット次第では駐車場や駐輪場も必要になることもあります。エリアの特性を考えて場所を選定しておくことが大切です。

面積・規模

歯科医院は、使用する機器や設備の大きさや、受け入れる人数によりますが、ある程度の面積が必要です。医療機器を搬入する場合、高さも要るため、導入する機器の大きさを事前に把握して物件を選ばなくてはいけません。特別な機器がなくとも、解放感のある医院にしたい場合は、広さも重視することが大事です。

一度に多くの患者を診療するために大規模な医院にするのか、賃貸費を抑えた小規模な医院にするのかなども踏まえて、ターゲットや理想の運営方針に合った最適な広さを見つけましょう。

周辺環境のリサーチ

物件やエリアの特性を知るだけではなく周辺の環境も大切です。周囲のオフィスビル、飲食店の有無や雰囲気、治安なども集患を担うポイントです。また、周辺歯科医院の有無、その他医院や病院なども事前に把握しておく必要があります。内見で確認していた点や事前に調査していた点の答え合わせをすることにもなるため、周辺環境は細かくリサーチすることをおすすめします。

物件の種類

医院の運営を大きく左右する要素として物件の種類は欠かせません。物件が存在する場所や内容によりいろいろなものがあります。

戸建て物件

戸建ての物件は建築に時間がかかりますが、動線や配置割り当てなどの内装を自由に設計できるという特徴があります。同じ戸建てでも土地のオーナーが建てた建物を借りての開業や、駐車場の設置など条件によってさまざまです。また、初期費用が大きいことや調剤薬局が近辺にあるか確認しなければいけないなどのデメリットもあります。戸建て物件は、特に首都郊外や地方、住宅地の経営に向いています。

テナント物件

テナント物件はビルや空き家を契約することで経営でき、戸建てに比べ初期費用が抑えられます。特に周辺人口の多い場所での運営になるため、集患が期待できます。そのうえで、より集患できる運営をするために周辺状況のリサーチが欠かせません。

しかし、間取りを大きく変えることができないため、電気や水回りの設備、ビルの管理が医院の運営に適していない場合があります。オーナーが変わったりビルが建て替えられる際に退去しなければならないリスクもあり、テナントに関して詳しく調査する必要があります。

医療モール

医療モールは、いくつかの医院が1カ所に集まった物件を指します。患者の利便性における向上のみならず、開業や運営、診療の面でメリットもあります。加えて、共同設備が利用できることから費用を抑えられたり、大型商業施設やショッピングモール近辺に併設されていることも多く、患者の獲得が容易なことも主な利点です。

反対に、患者が調剤薬局を選べないことや、内装を決める業者が決まっていて自由にできないことなど、医療モール側の意向に従う必要があります。また、同じモール内に同一の診療科目があることによる患者の奪い合いや、モール内の他医院の評判が悪いことによる集患の難化もあるため、入念な調査が肝心です。

路面物件

路面物件は1階にあり、道路に面している施設です。通行人の目に留まりやすく新規利用者を獲得しやすいため、はじめて開業する人や目新しいサービスを行う医院に適しています。

空中物件

空中物件は2階以上にある施設です。飛び込みの利用希望者を取り込みにくく集患では路面物件に劣ります。その分、賃料は抑え目な傾向です。医院では施術中の様子を見られたくないと感じる患者も多く、さらに予約制であることが一般的です。

居抜き物件

居抜き物件は前のテナントの設備や家具などがそのまま残っている物件です。特に同業種の場合、そのままの設備を利用できるため、開業時の設備投資を抑えられるうえに、すぐに事業が始められます。一方で設備が老朽化していて、結局改修で費用がかかる可能性もあります。

承認物件

承認物件は、医院が診療を行っているうちに引継ぎに関する相談や交渉をして丸ごと引き継ぐといった物件で、近年は人気があります。カルテごと患者を引き継ぐことになるため、物件の価格に加え、営業権やのれん代が発生する場合が多いです。賃貸物件での承認の場合、大家にも確認を取って契約を締結する必要があります。

スケルトン物件

スケルトン物件は内装も設備も何もない物件です。自分で設備やインフラ等を準備する必要があり、初期費用や退去費用が多くかかる場合がありますが、自分の思い通りの医院にできるメリットがあります。

他にも規模の小さい医院であれば、自宅兼医院という形で営業できる場合もあります。医院の診療科やコンセプトによって多種多様で、どのような運営にするかで選ぶ物件は変わります。それぞれに合った最適な物件の見極めが大切です。

物件の探し方

物件を探す際、インターネットの物件サイトで希望物件を絞り込み、サイト経由で不動産仲介業者に行く方法が、一般的かつ効率の良い探し方です。また不動産業者に理想の物件を相談することで、専門的な意見を得られます。

その他、該当するエリアの不動産会社に直接訪問する方法は、インターネットに上がっていない非公開の優良物件について教えてくれる場合があり、効果的な探し方です。また、エリアを自分で歩き、アクセスの良い空き施設を探してみるのもいいかもしれません。

急ぎで探さなくてはならない場合もあるため、その時の状況にあった方法で物件を探す柔軟さが必要です。

内見のポイント

物件を探す際、絶対に外せないのが内見です。データ上では好条件な物件でも、実際に内見に行くと、入口がわかりづらい、面積が広いが間取りに違和感があるなど、ギャップを感じることが多々あります。同時に、物件の希望条件を考えていた時点で気づけなかった、思わぬ重要ポイントや隠れたニーズを洗い出すこともできます。

物件そのものだけではなく、周辺環境を確認できるのも内見のメリットです。特に内見時に見ておくと良いポイントを以下に記載します。

【物件】
・入口の入りやすさ
・体感の広さ/高さ
・間取り
・設備内容
・エアコン/トイレの配置
・コンセントの有無や数

【周辺環境】
・アクセス
・周辺の雰囲気
・競合施設の有無
・治安
・ターゲット層が歩いているかどうか

物件契約時の流れ、準備

審査を無事に通過したら、続いて物件の契約です。

契約内容を注意深く確認し、賃料や初期費用、退去時の手続きなどに関して問題がなければ署名と捺印をします。疑問点があれば、弁護士などの専門家に相談するか、不動産業者に質問すると安心して解決できます。定期借家契約や居抜き物件の譲渡契約など、ややこしい契約がないかあらかじめ確認しておきましょう。特に広告・宣伝に関する制限は、経営に大きく影響するポイントでもあるため、制限が無いかをよく確認しましょう。またテナントの契約時は、家主側と交渉して、医院にふさわしくない業種が同じ建物に入らないような特約を結ぶことがおすすめです。

契約後は、内装工事の依頼や必要な用品・機器の準備・購入を進めていきます。歯科医院の開業は医師免許以外に、豊富な知識と経験、技術の証明が不可欠です。また、より有利な経営ができるように、医療経営士などの資格を取得することをおすすめします。

歯科医院の予約システムとは

歯科医院の予約システムは、医院の予約や顧客の管理を自動で行うシステムです。物件を契約し歯科医院を開業した際に導入しておくことで、医院の運営を円滑化できます。

予約システムの概要

予約システムは予約や顧客情報の自動管理だけでなく、マーケティングの強化や費用削減など、さまざまな面で役立つ機能を搭載したシステムです。その便利さから、歯科医院だけでなく、多種多様な業種で導入されています。現在では、多くの予約システムが存在するため、歯科医院に合った予約システムを見極める必要があります。

予約システムの導入メリット

歯科医院に予約システムを導入するメリットは数多く存在します。以下で、特に効果的なメリットを紹介します。

・業務効率化
予約システムは予約受付や顧客情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な歯科医院の運営が実現します。

・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や顧客の情報はデータ化されるので、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。

・マーケティングの強化
予約システムを通じて集められる顧客データを分析し、ターゲット市場の動向や顧客需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。

・患者体験の向上
予約の確認や変更をオンラインで簡単に行えることで、患者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付も実現し、患者の満足度を高められます。

まとめ

今回は歯科医院の物件探しについて詳しく解説しました。

物件選びは、医院のブランドイメージの形成や、安心を与えるという面、そしてビジネスを成功させるために、非常に重要なポイントです。一度決めた場所を引っ越すのはかんたんではありません。早急な開業でも、最初に丁寧に準備をして、ターゲットの選定や立地、設備、面積などの条件を洗い出し、快適な歯科医院の運営を目指しましょう。

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画像引用元:RESERVA公式ホームページ

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