歯科業界は競争が激しい世界のため、少しでも利益を向上させなくてはいけません。しかし「どうやったら、利益を上げられるのか」と、悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。
歯科医院の利益を上げるためには、基本的な考え方とさまざまな場面での取捨選択が大切です。
そこで、今回は歯科医院の利益を向上させるための方法とコストを削減して利益を上げる方法についてご紹介していきます。
歯科医院の利益を向上させるための考え方
歯科医院の利益を上げるためには、2つの基本的な考え方が理解できていないとコスト増加に関する悩みが増えてしまいます。
そこで、ここからは収益と費用のバランス、目標と戦略の立て方について、解説していきます。
収益と費用のバランスを考える
歯科医院の利益を向上するためには、現状の収益と費用のバランスを把握することが大切です。治療における保険診療の収入、労災などの特別な診療からの収益、その他の診療から得られるものが主な収益源となります。また、商品販売や口腔ケア指導などから得られる収益も考慮します。
ただ、スタッフの給与や医療材料の購入費、薬品のコスト、外部委託費、機器の減価償却費などは、運営に必要な支出となります。そのため、これらの経費を正確に管理しながら、不要なコストを削減することが大切です。コスト削減を考える際には、スタッフの効率化も視野に入れる必要があります。
スタッフ教育を徹底することで、治療の質を維持しつつ、作業の効率を上げることができます。さらに、新しい歯科材料や技術の導入により、治療時間の短縮や再診率の減少を目指すことも効果的です。
目標を立てて計画的に利益を上げていく
歯科医院の利益を向上させるためには、計画性が大切です。具体的には、利益目標を設定しながら、そのための売上高目標を逆算します。例えば達成したい利益と予定コストから売上目標を導くことで、経営の方向性を定めることができます。
その中でも特に、PDCAサイクルの定期的な実施が利益を上げていくために必要な要素です。PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の4段階に分かれています。歯科医院でPDCAを回していく際には、歯科医院のニーズに応じた計画を立て、実行に移した後、状況を評価して必要な改善の繰り返しが重要です。
ただ、計画と実行は多くの医院で行われていますが、成功のカギとなるのは評価と改善のステップにあります。定期的な評価を行い、計画に沿っていない部分を洗い出していくことで、経営の質を高め、安定した収益を実現することが可能です。
歯科医院の利益を向上させるための方法
歯科医院の利益を向上させていくためには、集客体制だけではなく、患者がまた通いたいと思ってくれる付加価値を提供していくことが大切です。
ここからは、もっと詳しく利益を向上させる方法を解説していきます。
集客体制を強化する
歯科医院の利益を向上するためには、集客力の強化が肝心です。紙媒体の広告だけでなく、Web戦略を用いた販促活動を行なっていくことで、集客を上げることができます。Web戦略で上位表示させていくためには、SEO(検索エンジン最適化)とMEO(地図エンジン最適化)を効果的に使っていくことがおすすめです。
また、競合との差別化も重要であり、医院の特色を目立たせます。医院独自のコンセプトを明確に打ち出しながら、一目で強みを理解してもらえるようなブランディングを行うと集客効果が発揮されます。
付加価値でリピーターを増やす
歯科医院の利益を上げるためには、リピーターを獲得することが欠かせません。高品質な治療技術を提供しながら、痛みの軽減や治療計画の丁寧な説明、分かりやすいコミュニケーションなどを高めていくことがリピーターにつながっていきます。また、以下の改善も歯科医院には付加価値となります。
- 安心感のある院内環境
- 受付スタッフの親切な対応
- 自由診療のオプションの提供
- 利便性を高める予約システムの充実
このように、患者に選ばれ続ける歯科医院を目指すことで、継続的な収益アップに繋げていきましょう。
自費治療オプションの単価を向上させる
歯科医院の利益を向上させるためには、自由診療への取り組みが重要です。例えば、保険診療以外の透明矯正やホワイトニングなど、患者のニーズに応える自費治療オプションを提供することで、単価を向上させることができます。自費治療オプションは、歯科医院によって収益が1億円を超えるケースが多く、自由診療の比率が全体の3割以上を占める傾向にあります。
そのため、自由診療の充実は収益増加に直結し、医院の成長を促進してくれるのです。適切なマーケティングとサービスの質を向上させながら、自由診療の強化を目指していくことが利益向上に繋がります。
スタッフの技術力を向上させる
歯科医院の利益を向上させるためには、スタッフの技術力の高さが大切です。まずはスタッフとのコミュニケーションを増やしながら、スタッフ教育に投資をしていき、快適な職場環境の整備が求められます。歯科医院では人が最大の商品力となるため、温かみのある対応ができるスタッフの確保と定着が歯科医院のイメージと直結していきます。
歯科医院のイメージも上げながら、技術力を高めることで利益を向上させることも可能です。
物販の価格設定を見直していく
歯科医院で利益を向上させるためには、物販にも力を入れることが大切です。物販は、適切な戦略と展示方法によって大きな収益となる可能性が高く、歯科医院によっては年間360万円を超える売上を見込むことができます。物販系の価格設定をする際には、コストと市場のバランスを考えながら利益を確保していきます。
また、患者が惹かれる商品展示をするためには「商品名、価格、簡潔な説明と推奨ポイント」を含む効果的なポップを飾ることがおすすめです。さらに、商品の説明をする際にも工夫が必要であり、患者にとって分かりやすい説明資料や比較表を活用しながら、サポートしていきます。提案回数を増やし、患者が関心を持つタイミングでの適切な提案が、購入行動へと繋がります。
コストを削減して利益を上げる方法とは
歯科院で利益を向上させていくには、環境を整えるなどの改善も必要です。
またコストの取捨選択をしっかりと行うことで、スタッフの育成などの必要な面にコストをかけることができます。
効率的な在庫管理を行う
歯科医院のコストを削減していくためには、効率的な在庫管理を行うことがおすすめです。必要な物でも過剰なストックを避けつつ、整理・整頓を徹底することで、必要最小限の在庫を保ちながら、コストを抑えることができます。また、定期的な道具の清掃と器具のメンテナンスを行うことで、耐久性の向上と故障を予防することが可能です。
器具をいかに長く持たせるかということを視野に入れて、コストを削減していきましょう。
デジタルツールを活用する
歯科医院でデジタルツールを活用することによって、コストを抑えることができます。例えば、電子カルテを導入することで、紙のカルテ管理にかかる物理的なスペースと手間を減らしながら、正確な請求書を作成することが可能です。
また、事務処理の時間を短縮することで、間違いを減らしながら収益以外の損失も防ぐことができます。
さらに、予約管理を自動化することにより、人件費を抑えながら患者の待ち時間を短縮することもできるでしょう。このような業務をデジタル化にすることによって、スタッフの適正配置が可能となり、結果的に残業削減と人件費の節約に結びつきます。ただ、デジタルツールを導入する際には、スタッフの研修や機器の保守点検など、新たなコストが発生しないよう注意が必要です。
予約キャンセルを減らす
歯科医院で利益を向上させるためには、収益を減らしてしまう予約キャンセルの対策が重要です。予約キャンセルが頻繁に起きてしまうと、直接的な収入が減ってしまうとともに、患者の定着率が悪くなってしまいます。そのため、予約管理システムを有効活用して、患者にリマインダーを送信するなど、キャンセル率を下げるための施策も重要です。
また、通知を受けた患者がキャンセルした際には、空いた予約枠を他の患者で埋める機能も活用していくことがおすすめです。
まとめ
今回は歯科医院での利益向上のやり方について、解説しました。
歯科医院で利益を上げていくためには、導入器具の選別などをしっかりと行いながら、収益と支出のバランスを考えていくことが大切です。
また、スタッフの育成にも力を入れていくことで技術力と接客力を向上させ、リピーターを作りだすことができます。しっかりと必要なところにコストをかけながら、取捨選択をして歯科医院の利益を向上させていきましょう。