厚生労働省の「 医療施設動態調査(令和3年1月末概数)」によると、2022年(令和3年)の歯科診療所数は6万8,024です。一方で日本フランチャイズチェーン協会の「CVS統計年間動向(2021 年 1 月~12 月)」では、日本国内のコンビニエンスにおける店舗数は5万5,950となり、歯科医院の店舗数がコンビニエンスの店舗数を上回る結果となりました。
現在、歯科医院は飽和状態であり、競争が激化しています。歯科医院の開業前から重要なポイントを把握することで、スムーズな開業準備を行うことが大切です。本記事では、歯科医院を開業する際に押さえておきたい4つのポイントを解説していきます。そして、歯科医院向けの予約システムについて紹介します。
事業計画と資金調達
歯科医院を開業するうえで事業計画と資金調達を入念に準備することが重要です。
事業計画書の作成
事業計画書には、医院の開業場所、ターゲットとする患者層、提供するサービスの詳細、収益予測、費用見積もりなど、詳細かつ具体的な情報を記載する必要があります。
また、物件家賃や人件費などのランニングコストは、慎重に仮説検証して、正確な数値を算出することが重要です。正確な事業計画を策定することで、資金調達をしやすくなり、資金難に陥るリスクを下げられます。
開業に向けた資金調達
開業資金の調達方法は主として、助成金や融資が挙げられます。多角的な方法を踏まえて、自院に適した資金調達を実施することが重要です。
助成金
助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して、無償で提供する経済的支援を指します。助成金は後払いで事業者に入金されることが特徴です。
助成金の審査をするうえで、計画的な資金計画が求められます。
・近畿経済産業局 「補助金採択後は、書類整理も重要です!」
金融機関からの融資
開業資金が不足している場合は、金融機関からの借入れを検討します。信用情報や事業計画の内容に基づいて、金融機関から融資を受けることができます。融資の条件や金利、返済計画をしっかりと把握し、事業の収益性を損なわない範囲で借入れを行うことが重要です。
・東北銀行 「創業支援ローン 〜起業のとびら〜」
・千葉銀行 「ちばぎん地方創生融資制度」
・福岡銀行 「創業支援」
銀行や金融機関へのプレゼンテーション
事業計画書の作成後には資金調達に向けて、銀行や金融機関にプレゼンテーションを行います。ここでは、信頼性と将来の可能性を示すことが重要です。根拠にあるデータや事業内容をもとにプレゼンテーションを実施することで、融資の審査が通りやすくなります。
物件選びのポイント
歯科医院の物件を選ぶ際に注意すべきポイントは以下の通りです。
立地の選び方
立地条件
歯科医院の物件選びで重要な要素は、人通りの多い場所に出店することです。 人通りの多い道沿いの物件は、通行人の目に留まりやすく新規顧客獲得につなげられます。
そのうえで患者が日常的に往来する動線であれば、集客がしやすくなります。例えば、スーパーマーケットやドラックストアなど、ターゲット層が日々の生活で立ち寄る場所が含まれます。
事業展望と必要なスペース
どんな歯科医院の事業を展開していくかを具体的にイメージすることで、用意すべきスペースが可視化できます。例えば、スタッフを雇用する際は、スタッフ数に合わせて休憩スペースの確保が必要です。加えて、ロッカーや鏡などを置いても十分なスペースであるかも確認します。
今後の事業の方向性や規模を踏まえたうえで、物件選定を行っていきましょう。
周辺環境の確認
交通アクセスの利便性
患者が通いやすい交通アクセスの良い場所を選ぶことが大切です。公共交通機関の駅やバス停から近い場所に開業することで、患者の来院がスムーズになります。また、特に車社会の地域では、駐車場を完備することで患者の利便性を向上させられます。
周辺施設との連携
周辺に商業施設や学校、病院などの施設があるかも重要です。これらの施設の近くに歯科医院を構えることで、多くの人に知ってもらう機会が増えます。また、これらの施設との提携やコラボレーションイベントを行うことで、患者数の増加を図ることも可能です。
スタッフの採用と育成
歯科医院のスタッフの採用と育成を進めるにあたり、以下のステップを押さえて準備していくことが大切です。
必要なスタッフの種類と役割
スタッフの種類 | 主な役割 |
---|---|
歯科医師 | ・患者の診療および治療の提供 ・治療計画の立案と実行 |
歯科衛生士 | ・予防歯科の観点からのケアおよび患者への指導 ・歯周治療、スケーリング、クリーニング |
受付スタッフ | ・患者の予約管理、受付業務、問い合わせ対応、カルテの管理 |
事務スタッフ | ・経理業務、保険請求、在庫管理などのクリニックの運営業務全般 |
スタッフの育成方法
初期研修の重要性
新入スタッフには、歯科医院の理念や方針、基本的な業務内容を理解してもらうための初期研修を実施します。初期研修では、患者対応のマナーや基本的な医療安全についてもカバーします。
各クリニックの経営理念と治療方針を正しく理解することで、スタッフ通しの協力と協調性を高めます。
継続的な教育と研修
スタッフのスキル向上には、定期的な教育や研修が不可欠です。具体的には、外部セミナーやウェビナーの参加、専門書籍の購読、実務トレーニングなどが挙げられます。これにより、最新の治療技術やトレンドをスタッフに周知し、専門性を維持することが可能になります。
マーケティング戦略
歯科医院のマーケティング戦略は、オンラインマーケティングとオフラインマーケティングに分けられます。具体的な対策は以下となります。
オンラインマーケティング
SNSマーケティング
現代社会において、SNSは広く普及しており、歯科医院の集患にも欠かせないマーケティングツールです。ここでは、特に効果的なSNSプラットフォームとして、InstagramとFacebookの二つが挙げられます。
Facebookページでの情報発信
Facebookにページを作成し、自院に関する情報発信を行うことは、潜在患者に対する認知度向上と信頼構築に寄与します。特に、口コミや患者からの評価をページ上でシェアすることで自然と信頼感が増します。
歯科医院からのお知らせ、予防歯科に関する情報提供、健康に関するコラムなど様々な角度からコンテンツを発信することが、最終的には患者との信頼関係構築に繋がります。
Instagramを用いたビジュアル戦略
Instagramはビジュアルコンテンツが中心であり、写真や短い動画を通じてユーザーの関心を引き付けます。歯科医院がInstagramを効果的に活用するには、施設の清潔感や最新の設備、実際の治療例などを美しいビジュアルで提示し、フォロワーにクオリティの高さを印象づけることが必要です。
また、歯科業界の豆知識や事例紹介に関する投稿など、利用者に向けて教育コンテンツを提供することが有効的です。そのうえで、患者からのコメントや質問を把握して、自院のコンテンツに応用することで効果的なSNSマーケティングにつなげられます。
一方で厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」に投稿内容が違反していると、6ヶ月以下の懲役、または最大30万円の罰則が課される可能性があります。医療広告ガイドラインに沿ったSNS運用が不可欠となります。
SEO対策
歯科医院が地域内での認知度を高めるためには、SEO(検索エンジン最適化)を効果的に活用することが不可欠です。潜在的な患者がインターネットで情報検索する際、「歯医者+地名」などの地域に特化したキーワードで上位表示されることが集患へと直結します。
Google ビジネス プロフィール(旧:Google マイビジネス)
Googleビジネスプロフィールは、ビジネス情報をGoogle検索やGoogleマップに表示するための無料ツールです。これを活用することで、営業時間、場所、連絡先などの詳細情報を顧客がかんたんに手に入れるようになります。
このような機能は、特に店舗に足を運ぶ必要があるビジネス、例えば歯科医院のような院の運営に特に効果的です。患者はスマートフォンから簡単に医院の情報を取得でき、利便性を高めることができます。
地域に根差したキーワード選定
地域に密着したキーワードの選定は、地元の人々が抱える具体的な歯の悩みを解決するための情報を提供するために重要です。
例えば、「〇〇区 インプラント」といった具体的な治療法と地域名を組み合わせたキーワードの上位表示を試みます。地域のニーズのある治療をもとにすることで、検索者のニーズを捉えると同時に、地域内の検索での上位化を目指すことができます。
オフラインマーケティング
チラシやポスター
地元住民に向けたチラシやポスターの配布は、目に見える形で歯科医院の存在をアピールできるため、強力な集客ツールです。専門性を伝えるビジュアルと明確で簡潔なメッセージが求められます。
また、特定のお得なキャンペーン情報を記載することで、反響が得やすくなります。
地元イベントでのブランディング
地域のイベントに積極的に参加し、歯科医院のブランドイメージを向上させることも集患につなげられます。例えば、健康に関するイベントや学校のイベントに参加することで、直接潜在的な患者と接触できます。
イベントでのプレゼンスは、単に情報を提供するだけでなく、子供向けの歯磨き教室、無料の口腔健康チェックなど双方向型アクティビティを提供することで、より参加者の記憶に残ります。
方法 | 目的 | 具体的な取り組み |
---|---|---|
チラシ配布 | 医院情報の把握 | マップや診療時間等を明確に提示し、入り口までの案内を行う |
ポスター掲示 | サービス案内 | 治療内容や口腔健康に関する情報を伝え、興味を引く |
イベント参加 | コミュニティ形成 | 地域住民とのコミュニケーションを取り、親しみやすい医院として位置づけ |
歯科医院向けの予約システムとは
歯科医院向けの予約システムは、歯科医院の予約や利用者の管理を自動で行うシステムです。予約受付における業務の効率化はもちろん、集患に役立つ機能を数多く搭載しています。ここでは、予約管理システムの導入メリットと、歯科医院の運営に役立つ予約システムの機能について解説します。
予約システムの導入メリット
予約管理システムを導入することで、図書館の運営において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。
・業務効率化
予約システムは予約受付や利用者情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な歯科医院の運営が実現します。
・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や利用者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。
・マーケティングの強化
予約管理システムを通じて集められる患者のデータを分析し、ターゲット市場の動向や利用者需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。
・利用者体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、利用者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、患者の満足度も高められます。
歯科医院の運営に役立つ予約システムの機能
予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、自身の歯科医院に合った予約管理システムを判別することが必要です。
オンラインカード決済機能
オンラインカード決済機能は、オンライン予約時にクレジットカードで決済できる機能です。オンラインカード決済機能を活用することで、利用者は事前に医療費を支払えるため、予約当日にスタッフが要する業務の負担が軽減されます。
写真ギャラリー機能
写真ギャラリー機能は、予約メニューごとに最大20枚まで院内のサービス・施術の写真を登録できる機能です。自院の設備や部屋の雰囲気を利用者に対して視覚的に提示できます。
各歯科医院の写真を予約サイト上に掲載することは、患者の信頼構築に向けた重要な要素です。
クーポン機能
クーポン機能は、予約促進に役立つ電子クーポンを発行できる機能です。クーポンはアルファベットの組み合わせによりコードが発行され、利用者は予約申込時にクーポンコードを入力するだけで、自動的に割引額が適用されます。
当機能を活用することで、新規顧客やリピーターの獲得につなげられ、予約件数の向上が期待できます。
まとめ
本記事では歯科医院を開業する際に押さえておきたい4つのポイントについて解説しました。歯科医院の運営に向けて予約システムを活用することで、効率的な店舗管理ができます。歯科医院の開業を効率良く開始するため必要な経営計画やスキルを多角的に学び、経営を行っていきましょう。
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画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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