審美歯科を開業する際に押さえておきたい5つのポイント

近年の歯科業界における生き残り競争は激化しており、経営に失敗して閉業する審美歯科は珍しくありません。審美歯科の経営を成功させるためには、開業前から重要なポイントを把握し、スムーズな開業準備を行うことが大切です。

本記事では、審美歯科の開業を成功に導く押さえておきたい5つのポイントを解説していきます。

審美歯科の開業ポイント5選

①明確な企業理念と経営理念

企業理念と経営理念は、審美歯科の経営の根幹となる重要な要素です。

企業理念

企業理念は、審美歯科の存在意義や使命を普遍的な形で表したものです。院長は「自院は何のために存在し、どういう目的で、どのような仕組みで経営を行うのか」についてステークホルダーに示し、従業員に対して行動や判断の指針を与える必要があります。一般的に企業理念は、経営者の意志や自院の将来の理想像などを、長期的な視点で考えます。

経営理念

経営理念は審美歯科の行動方針や意思決定のベースなど、経営を進める上で基準となる考えを明らかにしたものです。経営者が交代しても引き継がれる企業理念に対して、経営理念は経営者の交代や時代の変化に応じ、変化させる場合があります。

企業理念と経営理念の両方において、強く共感するスタッフが多いほど、医院全体の結束力は強くなります。また、社会にアピールすることにより、優秀な人材の確保や医院のブランドイメージの向上にもつながります。シンプルで分かりやすく、従業員やステークホルダーから共感を得られる内容を意識することが、2つの理念を考える上でのポイントです。

②適切な物件の選択

審美歯科の物件を選ぶ際の注意事項は以下の通りです。

立地・エリア

審美歯科の立地選定は、物件選びの中で最も重要な要素です。駅前、オフィス街、商店街や住宅街など、エリアごとに患者の層が大きく異なります。ターゲット層がよく来る場所で、立地がわかりやすいかどうか、審美歯科の競合がいないかなどを確認することが大切です。

また、ターゲット次第では駐車場が必要になる場合もあります。エリアの特性を考えて場所を選定しておくことが大切です。

面積・規模

審美歯科は、使用する機器や設備の大きさ、一度に診察する人数によってある程度の面積が必要です。医療機器を搬入する場合は高さも必要になるので、機器の大きさを事前に把握して物件を選ぶ必要があります。

一度に多くの患者を診察する大規模な医院にするのか、賃貸費を抑えた小規模な医院にするのかなども踏まえることで、運営方針に合った最適な物件の発見につなげられます。

周辺環境のリサーチ

物件選びでは、物件自体やエリアの特性だけでなく、周辺の環境も考慮する必要があります。周囲のオフィスビル、飲食店の有無や雰囲気、治安なども集患を担うポイントです。また、周辺の審美歯科はもちろん、ほかの診療科のクリニックや病院なども事前に把握しておく必要があります。

サイトや書面には、基本的に物件を売り込むのに不利になる情報は記載されていません。そのため、内見の際に自分の足で周辺を回り、治安や雰囲気などに違和感がないかを確かめることが大切です。

③優秀なスタッフの確保

競争の激しい審美歯科業界で生き残るためには、限られた供給の中から優秀な人材を採用する必要があります。優秀な人材が有している能力は、高度な専門知識と技術だけではありません。コミュニケーション能力やストレス耐性の高さなど、審美歯科医師に求められる能力は数多く存在します。優秀な人材を集めることで、自院のブランドや患者の満足度が上がり、患者数の増加につなげられます。

④オンラインでの集患戦略

審美歯科の経営を成功させるためには、効果的な集患が欠かせません。有効な戦略を策定し適切に実行することで、多くの潜在患者にアプローチできます。現代の審美歯科の経営では、オンラインでの集患施策が有効です。オンライン集患はコストパフォーマンスが高く、施策の効果を検証しやすい、リアルタイムで情報を更新できる、などのメリットがあります。以下がオンラインでの具体的な集患施策です。

リスティング広告

リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに応じて表示される広告で、検索連動型広告ともよばれます。自院に関連したキーワードを設定することで、来院意欲を持つ潜在患者にアプローチでき、新規の患者獲得につなげられます。

SNS広告

FacebookやInstagram、XなどのSNSへの広告の出稿は、近年における代表的な集患方法です。ユーザーがSNSを使用する際には、地域や性別、年齢などを登録します。また趣味、関心などの情報からも識別できるため、広告出稿の際に細かく設定することで、詳細で精度の高いターゲティングが可能です。

オウンドメディア

自院が運営するオウンドメディアを展開し、良質なコンテンツを継続して掲載することで、検索ユーザーの流入およびユーザーのファン化を促せます。一般的なオウンドメディアとしては、WebサイトやSNS、動画サイト、ブログなどが挙げられます。コンテンツの内容によって、すぐに作成できるものもあれば、インタビューなどを行い作成に時間を要するものもあるため、開業前から準備しておくことをおすすめします。

⑤DX化の推進

DXとは、デジタル技術を活用してサービスやビジネスそのものに変革を起こすプロセスを指します。審美歯科を開業する際のDX化の推進は、医院の業務効率化や患者満足度の増加など、さまざまなメリットをもたらします。審美歯科のDX化において特に効果的なのが、予約システムの導入です。

予約システムの導入

審美歯科の受付体制の整備に効果的な施策としては、予約システムの導入が挙げられます。

審美歯科の予約が煩雑な場合、予約者の来院意欲を下げてしまい、患者獲得の機会を逃す可能性があります。そのため、審美歯科を開業する際には、事前準備として予約体制を整備しておくことが重要です。

予約システムは、予約に関する業務を効率化するだけでなく、費用削減やマーケティングの強化など、さまざまな導入メリットが存在します。また、予約システムは多くの種類が存在するため、自院の運営に便利な機能の備わったものを選択することが大切です。

審美歯科向けの予約システムとは

審美歯科の予約システムは、医院の予約や患者の管理を自動で行うシステムです。物件を契約して審美歯科を開業した際に導入しておくことで、医院の運営を円滑化できます。

予約システムの導入メリット

審美歯科に予約システムを導入するメリットは数多く存在します。以下で、特に大きなメリットを紹介します。

審美歯科の運営に役立つ予約システムの機能

予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、自院に適した予約管理システムを判別することが必要です。

担当者個別通知機能

担当者個別通知機能は、予約が入った際、施術担当者に個別で通知メールが送られる機能です。予約サイトの管理者がスタッフに伝達する必要がなくなり、各スタッフのスケジュール管理が容易になります。

また、通知メールは自動で配信されるため、管理者による伝達漏れなどのミスを避けることが可能です。

メルマガ配信機能

メルマガ配信機能は、予約や来客時にメールアドレスを登録した患者に向けて、医院の最新情報やお得な情報など、患者に役立つ情報を発信する機能です。有益な情報を発信することで、患者の来院意欲を増幅させ、再来院を促すことが可能です。

予約時アンケート機能

予約時アンケート機能は、予約時に患者へアンケートを表示する機能です。事前にアンケートを入力してもらうことで、患者の要望や補足事項などを把握でき、診察の質の向上に繋げられます。また、アンケートにより流入経路を特定できると、今後力を入れて宣伝すべき部分が明確になり、さらなる患者獲得が可能となります。

キャンセル待ち機能

キャンセル待ち機能は、予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている予約者に対して通知を自動で送る機能です。キャンセル対応に要する医院の手間を省くことができます。また、キャンセル待ちの予約者に迅速に案内できるため、患者獲得の機会を逃しません。

まとめ

審美歯科の開業をする際は、ポイントを押さえて準備を万端にすることが大切です。本記事で紹介したポイントを押さえることで、医院の開業を成功に導くことができます。特に予約システムの導入は、さまざまなメリットが存在するため、開業時に取り組むべき重要な施策です。