歯科医院の受付は、歯科医師や歯科衛生士と患者をつなぐ役割を果たし、スムーズな歯科診療の進行において重要な要素です。一般的に受付業務は少人数のスタッフで行うため、一人の受付スタッフが多くの患者に対応する必要があります。特に多くの患者を抱えている院では、受付で会計などの待ち時間が長くなり、クレームにつながる可能性があります。
院内の受付業務量を減らし、効率的な運営につなげるためには、無人受付を取り入れることが有効な手段です。事前予約が主流となった現代は、歯科医師、歯科衛生士以外のスタッフがいない少人数の運営も増えています。有人受付の顧客ロイヤリティの高さに対し、無人受付のスムーズな入退店とそれぞれの方針で押し出す魅力は異なります。
そこで本記事では、歯科医院の有人受付、無人受付それぞれの特徴や実際に運営する際のポイントなどを解説します。
運営方針ごとの特徴
個人事業の運営では、方針によって費用やサービスのクオリティなどが大きく異なります。特に受付では、スタッフを雇う有人受付とシステムや機械に頼る無人受付では、同じ歯科医院の運営でもそれぞれに特徴があります
メリット | デメリット | |
有人受付 | ・トラブル対応の迅速性 ・顧客のサポート ・顧客ロイヤリティ向上 | ・スタッフの人件費 ・予約の煩雑化 ・人的要因のミス |
無人受付 | ・人権費の削減 ・セキュリティ対策 ・スムーズな施術 | ・初期投資やメンテナンスの費用 ・技術的障害 ・トラブル対応の遅れ |
1.有人受付
歯科医院における有人受付は、特に顧客体験のクオリティと安全性が保証されていることにメリットがあります。歯科医院の受付スタッフはレセプションとも呼ばれ、来院した顧客に出迎えや見送りを欠かさずにできることで好印象を与えることが可能です。
他にも、スタッフがいることで問題や緊急事態が発生した際に迅速に対応でき、顧客の不安を軽減します。人間的なコミュニケーションを通じた接客を求める顧客をターゲットとするなら、有人受付で顧客満足度やロイヤリティを向上させることが有効な手段です。
同時に予約管理など膨大な量の情報を扱う際、スタッフが管理することは人為的ミスを誘発する可能性があり、そういったことに対するリスクヘッジは必要です。受付にスタッフを配置する場合は、スタッフ1人あたりの人件費、アルバイトであれば時給1,000円~1,500円ほどがかかります。歯科医院の開業は、一般的に5,000万円かかり、初期投資としては非常に大きな負担です。スタッフを雇う場合、具体的に計画を立てて雇用することをおすすめします。
2.無人受付
歯科医院の受付が無人である場合、スタッフにかかる人件費がなくなり、費用の節約になります。受付にスタッフを雇わず、デジタル化されたシステムを用いることで、人的要因のミスがないスムーズな予約のスケジューリングが可能です。これにより、歯科医師、歯科衛生士などは接客に集中でき、サービスクオリティが向上します。またシステムの利用により、完全予約制や受付レジの撤廃などが実現し、業務負担の軽減を図ることができます。
しかし、受付の無人化には多くの問題もあります。例えば、システムの導入は、多くのシステムが有料であるため、人件費より安く抑えられるかを判断する必要があります。他にも、受付をシステム化する場合、電子的エラーやネットワークエラーなど技術的な障害を考慮しなければならず、トラブルが発生した際は、すぐ対応できるスタッフがいないため、対処に遅れが生じます。これらの問題を事前に予測し、発生したときの対策を練ったうえでシステムの導入を試みることをおすすめします。
スタッフ採用でおさえておきたい要点
どのような役割で歯科医院のスタッフを採用するのか、どの仕事を任せるために雇うのかなど目的を明確にしてから求人情報を公開する必要があります。採用後に何の仕事をするか明確でなければ、応募者の減少や採用後のトラブルが発生します。
歯科医院であれば、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手など、レセプションを含む受付といった明確な役割があります。採用目的をはっきりさせて求人を出すことで、応募者との齟齬が無くなります。
2.採用条件を具体化する
求人情報には、目的の明確化と同時に、内容の具体性が求められます。未経験可や週2日以上勤務など、求める条件を具体的に提示することで、働いたときのイメージがつきやすく、応募者が持つ入社後の違和感を減らすことができます。
採用条件で重要なポイントは、応募の内容や手間のハードルを上げすぎないことです。ハードルの高い希望や条件が多いと応募すらない状態が続く可能性があります。これは外せないという必須条件やこうしてほしいという依頼を明確にし、無理に求めすぎないことで応募者が集まりやすくなります。また応募方法にも無理なハードルを設けず、履歴書不要としたり専用サイトからの応募に切り替えるなど、手間のかからない方法を導入するのも1つの手です。
3.自院の強みを押し出す
求人サイトなどでスタッフを募集する際、月収〇〇万円以上可能や週2日勤務可能など自院の強みとなるポイントをアピールが必要です。ただし、強みをひたすら列挙することや誤解を与えるような内容は、逆に求職者を遠ざけてしまいます。ここでは自院の強みを強調できるポイントを5つ紹介します。
・自院のビジョン:院内の価値観や目指すものを明確にすることで、応募意欲が高まり、求めている人材とも出会いやすくなります。
・環境の特徴:仕事の雰囲気や、職場の環境など具体的な職場の特徴を示すと、求職者自身が働く想像がしやすくなります。
・成長の機会:働いて得られるスキルや知識の記載は、やる気のある求職者を得られる可能性が高まります。
・福利厚生:健康保険、有給休暇制度、退職金制度、フレキシブルな勤務時間など具体的な福利厚生の説明があると、求職者は安心して応募できます。
・写真や映像:実際の職場の写真や映像があると、働くイメージがつきやすく、綺麗な店舗であれば働くモチベーションの向上にもつながります。
4.求人方法にこだわる
求人方法はさまざまな種類があり、どの程度の規模で募りたいかやどのようなタイプの人を雇いたいかで適切な方法を選択すると良いです。
・求人サイト:求職者が希望条件を絞って求人情報を探せる、求人募集の最もポピュラーな媒体です。雇用形態やエリア、職種を自分で選ぶため、条件の食い違いが起こりにくくなっています。
・フリーペーパー:コンビニや駅に設置される求人方法で、掲載されるエリアで情報が分かれており、場所に制限があるものの、地域に密着した採用を望む場合には適しています。
・求人検索エンジン:Web上にある求人情報をまとめて検索するシステムで、求職者が多くの情報を得られる代わりに、その多さから埋もれてしまうことがあります。求人情報を発見してもらうためには、定期的な更新が必要です。
・人材派遣会社:クライアントの要望に応じて、最適な人材を紹介する人材派遣では、即戦力となる人材をいち早く獲得できます。
無人受付でおさえておきたい要点
有人受付では、適したスタッフを配置すれば運営できますが、無人受付では、どのような機材やシステムを導入するべきかの知識が必要です。無人受付でのおさえておくべき要点を、実際のシステムとともに紹介します。
1.セキュリティ対策
歯科医院の設備は高価であり、盗難や器物損害から守る必要があります。有人受付では、スタッフの監視により、トラブルが起きても迅速な対応が可能です。しかし無人受付では、美容師・スタイリストがセキュリティを管理する余裕はないため、監視カメラの設置や警報システムなど防犯能力の高いシステムの導入による設備の保護が必要です。
セコムは建物や利用方法のタイプからそれぞれの施設にあった防犯システムを設置でき、考えられる課題やリスクを事前に対策できます。
ほかにもシステムの不正利用や料金未払いでの利用にも気を配らなければいけません。そういった場合には、顔認証システムや事前予約や決済、スマートロックなど、店舗でのトラブルが起こらない対策が有効です。
2.オンラインでの予約
効率的な運営には、顧客がかんたんに予約できる予約システムの導入が不可欠です。無人受付では特に必須で、有人受付でも、オンラインでの予約やオンライン決済、スマートロック機能があると設備利用までのやり取りが簡略化され、顧客獲得の機会を逃すことがありません。
特にRESERVA(レゼルバ)は、登録事業者数26万社以上と国内最大級の導入実績を誇る予約管理システムで、入退室を自動管理するスマートロック連携や事前決済が可能なオンライン決済機能など予約管理にとどまらない経営に必要な機能が多数搭載されています。
3.顧客サポート体制
無人運営では、問題が発生した場合に対応できる電話やチャットのサポートシステムが欠かせません。無人受付にこのようなシステムがあることで、顧客が安心して医院を利用できます。
Chat Plus(チャットプラス)はチャットボット導入に関するサポートを行っており、問い合わせ対応にシナリオに沿った質問への回答やAI会話の機能といった運営方針にあわせた使い方ができます。
4.在庫管理
歯科医院の在庫管理は、受付スタッフの業務として人の手で行われます。受付スタッフがいない運営の場合、在庫管理を自動で行うシステムの利用が求められます。
SmartMat Cloud(スマートマットクラウド)は、現場の実在庫をリアルタイムで可視化し、手間をかけずに在庫の一元管理ができるため、業務の効率化を図ることが可能です。ヒューマンエラーがなく、消費にあわせた最適なタイミングでの自動発注ができます。
まとめ
今回は歯科医院における、受付スタッフの有無についてそれぞれの運営方針の特徴やポイントを解説しました。有人受付と無人受付のそれぞれの特徴を考慮したうえで、自院の運営における受付体制を決めていくことが重要です。顧客満足度、セキュリティ、人件費などさまざまな歯科医院の経営を考えている人はぜひ参考にしてください。